s 鴛鴦呼蝉庵日乗 2002.03.27
   鴛鴦呼蝉庵日乗
  2002.03.27 鳴門教育大学
 26日に鳴門教育大学の野地潤家文庫と大村はま文庫を見学してきました。今回は時間がありませんから、貴重な本を探して、次回の参考にすることにしました。それにしても、野地先生は3万冊の本をご寄贈いただいて、その上まだご寄贈予定の本があるとのことです。さすがです。研究とはかくあるべしということなのでしょう。心したしだいです。また、大村先生は学習記録を生徒にまとめさせています。この記録は貴重なものですから、この中から特徴的なもの、特に昭和40年代後半からの大村先生の考えに変化が出た時期、そのことがどのように記録に変化があるかを探ることが必要でしょう。その中に情報読みの特徴があるのです。大村先生は授業記録が少ないのも特徴です。生徒の学習記録はあっても、第三者からの授業記録は少ないものです。これからの研究課題ですね。
 この二つの文庫は、橋本暢夫先生が図書館長としてご尽力いただいたからこそできたものです。橋本先生は野地先生のご著書を独自の分類をしました。それは、NDCではなく、国語教育研究者の視点からの分類です。NDCは網羅的な分類であって、それを個人文庫に摘要するのは難しいものがあります。なぜなら、個人文庫はその人の独自の分類基準で収集されているからです。その独自分類を橋本先生はすべての本になさり、わけていらっしゃる。それがあって現在私たちはその恩恵にあずかることになっている、その貢献度は、文庫開設という研究者として献身的なそして、研究の本質を捉えていると思います。大村先生の記録は、すべて単元を調べてそれを箱に貼るという膨大な作業をしてきました。そのご人力に頭が下がります。それと、鳴門教育大学附属図書館情報サービス係の杣友さんのご尽力があってのことです。
 滑川先生の蔵書は神奈川県の近代文学館が、石井先生の蔵書は奈良に、増淵先生の蔵書は土浦短大に、それぞれありますが、しかし、大学図書館では個人の蔵書を受け入れない方針になりつつあります。それは、受け入れに時間がかかるからです。それゆえ散逸してしまうことがあります。倉澤先生の蔵書や資料も一カ所にまとめていただけると、今後の国語教育研究には大いに高まるものであると思います。
大村はま文庫の特別資料室で、学習記録を閲覧。
左から、田近洵一先生、橋本暢夫先生、小原俊さん。

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