鴛鴦呼蝉庵日乗
  2002.10.20 全国大学信州大会
 信州大会から帰ってきました。今回は多くの方とお話できませんでしたが、来年のことがわかって大分精神的に楽になりました。
甲斐雄一郎先生ともお話できました。いつも頼りになる兄貴分です。たくさんのことに感謝しています。兄貴分については以前書きましたが、高木まさき先生は顔を拝見しただけで、あとはお忙しそうでしたので話せませんでした。松崎先生はいつもお元気の様子で、いつかポストモダンとポストコロニアルについて伺いたいと思います。

 今回、思いもかけず巳野(みの)欣一先生とお話できる機会がありました。シンポジウムの内容が方法論や課程論に行ったので、つまり教師論ですね。そこで学習者論、でも実際は教師論の中の学習者論なのですが、その学習者論に展開してどのような問題があるかを伺いたく質問しました。突然あんな質問で会場の皆さんには申し訳ないのですが。というのも巳野先生の特長は、学習者の日常や言語の実態を充分に観察しその学習者にあった指導をしているからです。学習をよく観察しなくてあれだけの体系表は作れません。学習者のコミュニケーションを重視しその上にたった指導ですので、その学習者をどのように見ているかを引き出さないで巳野実践を語ることはできないのです。あれだけの体系や分類、表ができるということは、それまでの蓄積、学習者の実態把握、文章把握があります。その学習者を歴史的にどのように見て、どのように体系を作っていったかを引き出さないで、あのシンポジウムは語れないでしょう。途中、課程論に走った質問もありましたが、やはり学習者論から入るべきです。その後の懇親会で巳野先生自ら話しかけて下さいまして、私の真意をお話ししたところ、ご理解いただけたようです。巳野先生は中央に机を作り、質問があったらそこに来て先生に質問させるようにしていたのです。ただ、そのために辞書や文章表現の本をたくさん置いて、すぐに自分で調べられる用意をしていました。そして巳野先生の学校では担任が持ち上がりますから、学習者のこともよく見ています。それゆえの実践なのです。これは大いなる成果でした。巳野先生の実践は学会でいくつか聴いていましたが、今回はっきりとわかりました。結果には過程があります。それを見抜けるか、そこが研究の視点だと思います。

 塚田泰彦先生にはいろいろご質問ばかりで申し訳なかったのですが、今回はじっくりお話できて、いつもお忙しそうな状況でなかったので、こちらも心おきなく話しができました。懇親会の終わり際には桑原隆先生から来年のことで励まされました。ありがたいことです。本当に筑波大の先生方にはお世話になり感謝しきれません。いつか筑波にいってゼミに参加したいと思います。

 収穫といえば白石先生のお考えの自律の部分を伺えたことです。これも収穫。そして稲垣忠彦先生からは授業記録の方法についてうかがえました。インタビューをとって、そこから考察するというもの。これは今後の課題です。野地潤家先生とは挨拶で終わってしまいました。今回は野地先生は古本屋にいかなかったとか。私の方は大正堂ともう一つ回ってきました。収穫はありまないのですが、信濃教育の西尾実先生追悼号を購入。それと安良岡康作先生の講演集を購入。

 橋本暢夫先生からはとてもいい話を伺いました。この秋、いい発表がありそうです。とても楽しみです。11/30に大村はま先生の講演が浦和であるのですが、その日、仕事があるのを忘れてました。残念、いけそうもありません。だれか講演をテープにとっていただけると助かります。橋本先生に送りますので。

 そうそう、橋本先生は明日、上田の無言館に行くそうです。戦没青年画家の美術館で、いや、美術館といったら語弊がありますね。記念館です。そう、私たちの心に残さなければならない記念館。以前、陶芸家の田口先生から伺ったことがあります。学会の帰りに浜本純逸先生と一緒でしたが、小諸に寄るとのことでした。来年は浜本先生の授業です。楽しみです。今回は田近先生は学会不参加。お忙しいとのこと。帰りといえば、偶然新幹線の隣の席が昌子先生でした。国民学校の研究、またお伺いしたいものです。

 学会参加の皆さんはお気づきでしょうか。ホールの大会の横看板。あれ、書家の上条信山さんの書風でしたね。信州といえば上条信山です。それで益地先生にお伺いしたら、上条信山さんの一番弟子の方が書かれたのこと。やはり、そうでしたか。お家流や鈴木翠軒、あるいは謙慎会、独立の傾向がある中で、きちんと信州の伝統を守っている、そしてその書風を看板にしているのはさすがです。川村冀山も確か信州に関わっていたとおもいのですが、これは勘違いかもしれません。で、看板の書風にもこだわりがあって、そこは益地先生のお心配りでした。そうそう、藤森先生にはお忙しい所、お世話になりました。学会紀要のスタイルの件、明日にでも修正しておきます。

 研究発表のことについは、また後日。 ホテルで熟睡できませんでしたので、概要だけ報告です。

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