2002.11.05 視点
 空間を言語で表現するとき、鳥瞰して全体を地図のように描写するよりも、視点人物がその空間に入っていって、何を見ていたかを描写した方がリアリティは出ます。客観的な描写というものが存在しませんから、主観的な描写でも語り手の意識は必ず残ります。その語り手の意識を探ることが語りを中心とした解釈への道ですし、表現への道です。視点とは単なる地図でなく、見ている人の考えだと思います。

 論文も本も、視点だと思います。客観的な描写をしても、それは語り手の視点で書かれています。草花を描写してもです。私は写真や絵画でも視点があると思います。図鑑や百科辞典もそう。かならず視点があります。写真は撮る人の位置でかなり変わってしまいます。図鑑もその図を描くには視点があります。その視点で見るから何か発見があると思います。私の写真もそう、視点があります。それがどのようなものかというと、それは説明するものではないので、感じるものでしょう。つまり、作り手の視点よりも、受け手の視点によって、視点は決まってしまいます。そういうことですね。私の写真の場合もそうだと思います。

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