2002.12.16 思い
 自分を正しいと思うことは難しいものです。 自分を正しいと思うこと、それは自分のよさを見つけることです。外からのいろいろな情報に左右されると、人は自分の生き方に自信を喪失します。他人が批判する、他人が自分を受け入れない、そんなことなどが全て自分の中のイメージとして増幅されてしまいます。その結果自分に対する自己評価が低くなってしまう。それによって、正しいという判断も失われてしまいます。全ては思いからくるもの。
 もちろん、自分が受け身になることでなくて、自分が発信することでも同じ事が言えます。相手のよくないことをなおしたいがために、きついことを言う。その時は正義ですが、後味の悪いものです。怒ることは相手に対してのメッセージですが、相手に対して怒ることは、伝えられない自分の言葉に対する怒りもあるのでしょう。だから後味の悪いものです。
 辛いことをしていかないと先がありませんし、それを愚痴として言うことも自分の低さを示してしまいます。示すことはいいのですが、示すという行為が自分の評価を低くしてしまうかもしれません。それが一番怖いのです。

 ストーリーのおもしろさ。 物語を読むときのおもしろさとは何でしょうか。このおもしろさは、主人公が精神的にも葛藤したり、いろいろな困難や苦痛を乗り越えて、成長していく過程にあると思います。それは悲劇でもいいのです。結果もありますが、過程を楽しむものではないでしょうか。過程、それは思いです。

 一つ一つの思いがあって、それぞれでいやなことや楽しいことを乗り越えて、次へ生かして欲しい。もちろん、そういう気持ちは相手に伝わることはありませんが、願うことはできます。ささやかな願い。自分が自分でありつづけること。人が人のためにするには、自分を低くしてでも、相手の生き甲斐を探していくこと。でも、それも自分の行為。自分でありつづけること。

本日購入のCD。
「雅楽大系」雅楽紫絃会
 久しぶりに雅楽でいいCDでした。全て聴いたわけではありませんが、この会が後の東京楽所となるというのも今更知りました。いや、いい演奏です。


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