2003.02.05 名作

 名作とは暗唱に耐えうるものである、そう信じています。もちろん黙読に耐えうるものだってあります。それも大切。ただ言えることはことばのリズムを大切にすること、それが実は解釈がイメージに必要なことなのです。ことばには、音ではないリズムがあります。調子というのか、どこで区切り、そしてどこでどのように使うかの使用法も含まれます。そういう自分の中にあるリズムが、その作品と一致し、自分が考えている範囲でない展開があるものが、名作となるのでしょう。名作とは客観的な理性的なものではなくて、主観的な自己との相対的な者だと思います。
 記憶の中で古いものは何でしょうか。特に子どものときに買ってもらったグッズを探ることで、記憶の確かさや、生きてきた時代がわかります。若い人なら、アッコちゃんのコンパクト、玉子っちでしょうか。古い人だと、だっこちゃんでしょうか。そういう今は持っていないが、当時を生きた人には記憶にあるものは、共通体験として語ることのできる話題であって、その共通伊勢があることでも、名作として認定されやすいと思います。
 名作とは、感動の量ではなくて、記憶の確かさなのかもしれません。


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