鴛鴦呼蝉庵日乗
2006.2.7  書の墨と紙と

 職場を早退して、書の至宝展へ行ってきました。後期の展示替えがあるので、それらの中心に前回は観なかった全期間展示のも。
  その中で、期待したのが、孔侍中帖と妹至帖。妹至帖は王羲之の筆ではないような気がしましたが、確信はありません。
定武蘭亭序(呉炳本)と淳化閣帖(最善本)には長い列がありましたが、両方とも書籍にあるので、特に今回見るべき必要があるのか、という疑問もありましたので、通過。鴨頭丸帖と地黄湯帖も、どこか墨と紙が時代と違うような気がしましたが、それも確信なし。化度寺碑(翁方綱本)は翻刻本ですが、それでも欧陽詢の筆法を捉えていると思います。孟法師碑(唐拓孤本) は思いの外、筆の跡がしっかりしていました。行書杜甫秋興詩巻がよかったですね。筆意が満々として。法華義疏巻は貴重な品です。もっと注目されてもいいと思うのですが。賢愚経残巻(大聖武)、香木をすきこんだ麻紙なのですが、そのことは説明されていませんでした。たぶん、どこかに書いてあるのでしょう。雄渾であり、聖武天皇の筆ではないのですが、請来ものだと思います。金剛般若経開題は綾部の論の正しさを確信。常楽里閑居詩を見ると、王羲之の流れがあると感じました。行書午門朝見詩巻はさすが文徴明の筆法確かです。張瑞図はその昔に臨書したことがあったのです、やはり間違っていたのがわかりました。同じく、趙之謙も。蔵峰であることは多分そうなのかもしれませんが、それほどこねくりまわさず、あっさり書いています。筆の勢いは塗りたくるのではなく、引いていると実感しました。近衛信尹、本阿弥光悦、松花堂昭乗などはデザイン力が高いと思います。
  大変有意義な3時間弱で、閉館ぎりぎりまで見てました。最初に通過したところも、最後には見ることが出来ましたので、全作、しっかりと鑑賞できました。紙、墨など今まで不明な点もわかり、いろいろと収穫の多いものでしたが、かといって、まとめることもしません。一応、知識として心の中に。立ちっぱなしでしたので、帰りの電車の中では頭痛のまま帰宅しました。
  法隆寺宝物館が常時展示ということになったのを知らず。いつか行きたいと思います。
  書にこだわった一日でした。

[今日の記録]
睡眠時間:3:00就寝、6:50起床、3:50時間。
天気:雪の後の曇
最高気温:5度

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