2001.11.3 「紫式部」 | ||||||||
体調を崩してやっと順調に回復に向かっている段階から、散歩をしています。最近、近くの公演に保護区域があることに気づきました。もっとも、昔からあったのですが、そちらに立ち寄らなかったのです。そこで、久しぶりに日中に散歩することにして、いざ出かけようとすると、雨です。例の若い三姉妹の二番目の人が、雨に当たる確立が高いとか。ちょうど、今日、その二番目が帰宅するということを聞いていたので、きっとそのせいにされそうですが、じっさいには偶然です。 雨の中でもこのまま夜まで降るのなら昼間に出かけようと思い、傘を差して出かけました。保護区域なので、植物園のようにすべての植物を観覧できるようにはしてありません。自然の植生を生かして、それでも人工的な区画の中にそれぞれの植物を繁殖させています。もちろんそこには人工的な作為があります。保護区域としても、自然林と言っても、結局は人工的な手が入ります。その手によって、人々は自然を人工的な自然として取り入れることが出来ます。むしろ、その方が安全です。そうでないと、害虫、そして人に危害を加えるさまざまなものが生きているべきだからです。それでも保護区は自然にとって安全という名目で、人にとって安全な区域にしているからです。 ◇ さて、入り口も簡素な扉であり、そこから入ると保護区域です。保護区域とそうでない区域は透かして見えるフェンスによって隔てられていますから、別段保護区域に入る必要もないのですが、それはやりは身近で見たい者ですから、それぞれの植物の特性について理解していこうと思います。 その中で気になる植物がありました。一つは「がまずみ」でもう一つが名を知らない紫の実がなるものでした。帰りに掲示板を見ると、「紫式部」とあります。そんな植物名に出会ったことがないので、それは地域名かなと思い、とりあえず、あとて調べようと記録しておきました。帰宅して調べるとそれは「こむらさき」という名で、別名が「紫式部」というものでした。 ◇ 「紫式部」の「紫」という名のみの関係であって、紫式部の人柄や作品についての関連、あるいは紫式部がその植物を好んでいたということでもなさそうです。色というもので連想したものであって、名はその植物のそのものを表すことはありません。仮の名をつけることで、その植物に広がり、奥行きをつけているようです。 ものの名はそのものの仮の名です。記号です。しかし、その名をつける理由は、名を使う人々の意識が入ります。私はそれを含めて「言語生活」と言っています。もちろん、「言語生活」は一般的言語について述べますが、私はそれを国語教育において個の問題まで拡大解釈すべきだと考えています。その関係を述べていくこと、それがこれからの私の課題です。
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