2002.10.10 買い物と歌舞伎観劇記 | |
いつも使っている風呂敷がだめになったので、銀座に買い物に行ってきました。別に銀座で買う必要はないのですが、一度、銀座で買ってから風呂敷は銀座、それも「ゑり菊」と決めています。今使っている浴衣も「ゑり菊」のもの。もちろん特価品。高いものはきりがないので、安物でいいのです。風呂敷も680円のもの。丹後ちりめん。色は紺か紫がかった青か、その時に売っているものです。特価のワゴン品なのに、わざわざ銀座に行くのもやはり、ぜいたくすぎるので、何かのついでにいきます。 「ゑり菊」の後に鳩居堂へ。私は2階を中心に見ますね。今日は硯を中心に。新端渓もあったのですが、やはり古端渓。それも麻子坑のもの。さすがに高額ですが、どうも「眼」がよくないですね。いいものは少なくなったのかもしれません。以前は宝研堂にはいいものがたくさんありましたが、今はどうなのでしょう。鳩居堂の硯はいいものが少ないので、あればその時に買うといいでしょうね。でも、古端渓は高額ですよ。所有しているのは古端渓で、そんなにいものではありません。「眼」のいいものはありますが、由緒がわからないので、たぶん、新端渓でしょう。中国で購入したものです。古端渓で長年重圧に耐えて、水の中にあった硯は、さすがに墨をするとき、すべるように、なめらかですね。そして、墨色がいい。硯は買えばほぼ一生使う道具ですから、多少高額でもいいものを購入した方がいいと思います。 電化製品では、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、使用頻度の多いものはいいものを買うようにしています。たとえ高額でも、毎日使うものなら、使用期間を一日で割れば、大した額ではないから。逆にめったに使わないもので高額なものを買うのはためらいますね。使わないのですから、安物でもいい。今、一番興味があるのが、枕と靴。いい枕に出会うことはめったにないでしょう。だから、いろいろ試したのですが、これだっ、というのがないので、探したいと思っています。もう一つが靴。どうしても、足にぴったりして、そして歩きやすく疲れないのがいいのですが、なかなかありません。銀座にオーダーの靴屋さんがありますが、女性専用です。マッケイ工法がいいと聴きますが、男性用はどこにあるか、これから探します。いままでは、ガンター、靴の健康館と履いてきました。最初はいいのですが、だんだん足に合わなくなる。いい靴とはどういうものか、やはり、オーダーなのでしょうね。 そういう自分なのに、なぜか、背広に関して、いや、洋服に関しては全くといってもいいほど、頓着しません。安くていいのです。同じものを毎日着てしまう。日によって服を選ぶということが面倒なのです。ネクタイも二つのものを日替わり交互に使います。そういう私のことを気遣って、いろいろな人がネクタイを贈ってくれるのですが、実は使えないのです。そのまましまってしまう。いけないのですが、使うという面倒な行為にいやけがさしてしまうのです。贈られることがいやのではないのですが。だから、申し訳なくて、頂くたびに、罪悪感にかられます。下着も安物ですね。靴下も5足1000円のもの。なるべく同じものをたくさん、そして安く。どうせ、よごれるから。そこがけちなのです。洋服に金をかけませんから、その分本やCDや歌舞伎などに回りますね。非効率的です。食費はかなりかかりますが。若い頃は豆腐も安物で、3個で100円の充填豆腐でしたが、今は味を大切にして、五右衛門豆腐か三之助豆腐にしています。おいしいと気持ちもよくなりますから。一番食べたいのは京都の森嘉の豆腐。あれは絶品ですね。詩仙堂の松岳院は今はもうないようですけど、あそこは実においしかった。なんどでも行きたい店でした。 さて、ゑり菊、鳩居堂のあとはいつもどおりに木村屋で栗あんパン。これはおきまりのコースですね。木村屋にはフランスパンにあんをいれて、バタークリームをはさんだパンを売ってました。買いませんでしたか、どんな味か知りたくなりました。でも、きっと買わないのが正解なのでしょうね。 さて、最後は歌舞伎です。今月は仮名手本忠臣蔵でした。夜の部は勘九郎でしたね。なかなかの熱演。そして、玉三郎。それはそれはきれいでした。七段目の玉三郎は、それは、それは、涙が出てもいいくらいきれいでした。演技も迫真でさすがです。今の女形では雀右衛門は別格ですが、玉三郎が旬ですね。それと福助。福助は成長著しいですよ。これなら歌右衛門の名跡を継いでもいいと思います。 吉右衛門はさすがに当代第一の歌舞伎役者ですから、文句なし。風格、表情、厳しさ、すべていいですね。それと団十郎の組み合わせがよかった。団十郎は声があまりよくないので、どうか心配していますが、今回は団十郎、玉三郎、吉右衛門とみごとに調和していたと思います。見せる場面が多くて、七段目は見物です。十一段目は必要ないかもしれませんね。七段目で充分。今月はなかなかよろしいと思います。 以前、国立劇場での3ヶ月通し狂言を見たのですが、その時の定九郎を先代の尾上辰之助(没後、松緑を追贈されました)が演じましたか、長期入院の後の復活でした。その後、すぐに亡くなったのが残念です。その辰之助は実に怖かった。憎々しいところがあって、迫力もあって。アドリブで、病気でお目にかかれずご迷惑をかけたと言ってましたね。そうしたら、満場の拍手。ああいう演技は上手かったと思います。あの印象が取れないから、その後の定九郎はどれを見ても楽しくない。 歌舞伎座に入ったら、久しぶりに広田さんに会いました。何年ぶりでしょう。歌舞伎のお仕事をしていたので、以前はたまに会ったのですが、久しぶりです。違う大学の後輩でしたが、四人展にも来てくれました。懐かしいですね、昔のなじに出会うのは。福助のことを話したのですが、福助が今年42歳ということで、見た目より若いのに驚きました。いや、これからどんどん伸びる役者ですよね。歌舞伎座でごくたまに会うのですが、じっくり話したことがないのです。どんな仕事が聴きたかったのですが、それはまたいずれかということで。 とういうことで、今日の購入品は風呂敷と栗あんパンでした。 |
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