2003.02.08 定石

 読解に定石はないのであって、読み手が変われば、読み手の生育的な文化状況が解釈に光を与えるのであって、結局の所、読み手と書かれた文章との相対的な関係でしかありません。勉強も同じで、定石はありません。でもその定石に近い技術的な面はいろいろあるのではないでしょうか。以下、励ましの文ですが、励ましと取るか、おせっかいと取るか、それは内容よりも、相手との関係性だと思います。

 それは今日の出来事でしたが、いかに伝えるかということで、真実をそのまま伝えることがかえって自己責任を回避する傾向にあること、その典型を見てきました。もちろん、いろいろな術として枝分かれする意図はあったのですが、それを見抜いたのは一人でした。さすが頭の回転がいい。感情を全てぶつけると真実から遠ざかる。その殊に気づくまでは時間がかかるでしょう。いわば詭弁の扱いです。真実はどこにあるか、それを語らずして察するというのは難しいことです。自己保身というのは当然の出来事であってそれを踏まえて、これから何をすべきかを考えるのです。果たして運動体として、実行者としての問題があります。いずれにしても、真実はいつも隠蔽されているから、真実を知ることは難しいでしょう。信じるということばで、期待していて自分の都合のいいような解釈をされること、これが一番困るのかもしれません。
  それにしても、難しい。いつの間にか事態に組み込まれてしまい、道具として、使われてしまうと、結局自分の信念をなくしてしまいます。負けることばかりであって、結局自由ではないのです。その繰り返しが来てしまいました。辛い目を見るのは、結局当事者なのです。感情を感情として聞くのではなくて、抑えることの必要性でしょう。


○勉強は感情である
 勉強は感情である。文系・理系の選択は感覚で決めてしまうことがある。理性で勉強するのなら、科目の好き嫌いはあり得ない。好き嫌いがあるということは感情が働く。また、理性で勉強するなら「やる気が出なくて、手につかない」ということもない。つまり、勉強は感情でするものである。では、「やる気」をつけるにはどうしたらよいか。

○受験勉強は日常の予習復習から
 受験勉強という特殊な勉強はない。毎日の予習・復習そのものである。高2の今の時期は予習復習に最低3時間はかかる。それに1時間を加え、その時間に問題集や単語覚えなどしていく。その1時間を365日、365時間確保できれば、5科目で1科目あたり73時間。問題集4冊分の時間である。この毎日の予習・復習・問題集の時間が受験勉強そのものなのである。多くの先輩もそのように予習・復習と問題集でがんばってきた。特別な方法ではない、毎日の繰り返しなのである。

○英単語は毎日
 毎日、英単語を4ページ程度、書く。そして例文を音読する。これで20分。3ヶ月で単語帳を一冊終えたら、もう一度書いて、音読して覚える。これを三回繰り返すと単語帳のほとんどを記憶できる。勉強に疲れたら気分転換にあまり考えない単純作業がいい。それは単語をひたらす書き写すことである。
 次に文法。関係詞、分詞は徹底的に。関係詞の省略はしっかりと。単語を記憶して文法をしっかり身につければ、あとは慣れることで、長文は読めるようになる。
 同じ方法で、古文単語も毎日2ページほどやってお香。単語帳が私立大学志望者は英語と世界史、国立大学志望者は英語と数学を毎日勉強する。

○問題集は一年間で3冊
 毎週、一教科一問解くと、一年で54問解ける。問題集は一冊17問ぐらいだから、3冊解くことができる。モデルとして次のような期間で問題集をやるとよい。
 過去問題は秋から。今では解けないから意味がない。秋になったら、1日1教科、3日で一年分、2週間で1校4年分。これで十分で、あとはなんども解くとよい。
 問題集のスケジュール (例)
 2月〜4月 入試初級
 5月〜7月 入試中級
 8月〜10月 入試上級
 11月〜1月 過去問題
なお、赤本は新版の出る6月以降に買う。

○半日は頭を休める
 受験のために楽しみをすべてやめるのは本末転倒。それではストレス解消できない。例えば日曜の午前と午後は休みして、自分のしたいことをするとよい。その時間を自由にすれば、リフレッシュできる。また、普通の日に用事を入れた場合は、日曜日の空いている時間に勉強を繰り越すとよい。楽しみを奪うと勉強もつらくなる。楽しみが待っているから勉強するようにするとよい。
 ただし、楽しみにのめり込みやすい人は、一年間封印するとよい。触らないで気にしないようにするのである。気分の切り替えができないひとは、封印すべきであろう。

○無理のない一週間の計画
 勉強の計画には、一日のもの、一週間のも、月単位のものと、用意しておこう。そうすれば、今日、何をすべきかがはっきりして勉強も効率よくできる。受験教科以外の宿題は問題集の時間にやっておこう。
 実際には英単語と古文単語は20分程度なので、この通りにはならない。

○気分を高めていく
 勉強が感情で左右されるのなら、自分の感情をコントロールすることで対応できる。その対策にはいくつかある。人によって効果があるないか異なるので、自分にあった対策を考えていく。
1.気分を高める
自分はできる、と思いこむ。一流のスポーツ選手は一流のものを身につけたりすることで自分は一流であると意識させる。「よし、やるぞ」と自分に言い聞かせる。ことばは自分に対しても力となる。言い聞かせるのは一番いい方法。
2.体調を整える
食事、睡眠、規則正しい生活。
睡眠時間を一定にし、間食も内容に注意。低温の長時間燃焼できるご飯などを中心に。
できるなら朝型にしておく。朝の1時間は夜の2時間の集中度がある。
冬は外出後のうがいは必ずしておこう。
3.目標を決める
目標校を決めよう。目標校に関する資料や、グッズを入手して、大学生活を夢見る。そしてそのためにがんばろうと決意する。卒業生のキャンパスレポートにも目を通そう。
4.卒業生の記録を読む
卒業生の受験体験記は塾選びや勉強方法などが書かれているから、ぜひ読んでおこう。そして先輩についで合格を決意しよう。

○受験の敵は自分の心の中にある
 受験のライバルは他人ではない。むしろ自分である。怠けてしまう、やる気がないという口実で、ずるずるしてしまい、後悔ばかりしている自分の心にある。受験勉強とは得点を取るための技術は二の次で、一番大切なのは、怠けてしまう自分の心に打つ克つことである。精神的なものである。勉強は感情であるからこそ、高3になるまでの間に準備しておこう。スポーツ選手も試合前には十分な準備をする。本格的な受験勉強となる高3になってからでは遅い。今の時期は準備期間である。ウォームアップを十分して、頭の働きを円滑にしておく。

○強い心は目標と日常の生活から
 以前、家計が苦しく、母親も病気がちで高3になってもほぼ毎日アルバイトをしていた先輩がいた。毎日苦しく、それでも生活のせいで受験を失敗しては家族に申し訳ないと思い、自分の境遇を考えることをしないようにして、一年間がんばった。その結果、第一志望校の国立大学に入ることができた。手の皮が剥けてしまうまで、皿洗いのバイトを続けた。家に帰ると12時を回っていたこともなんどもある。それでも、その先輩はひたすら耐えた。その様子は友だちにわからないように明るく振る舞っていた。そして、クラスでも孤立しないように、係を積極的に引き受けた。常に忙しくしてないと自分の境遇に負けてしまうからだ言った。このような先輩は今までも何人もいる。
 だれだって勉強はしなくてすむならそれでいい。しかし、自分の進路を考え、一年間、必死に努力するのは、この後国家試験を受ける以外ではまずない。70年とも言える人生で、一年ぐらい自分の進路のために必死にするのもいいことではないか。
 日常の生活をきちんとしていくと、気分も引き締まる。遅刻・早退、勉強の習慣。すべて体で覚えることから始まる。精神力は規則正しい生活習慣から始まる。そして、受験勉強のスタートを早めれば、早めるほど、精神力は増してくる。
 つらくなったら、英単語を書き写そう。頭が回転していなくても、手が、体が覚えてくれることもある。それでも辛い時は、寝てしまおう。それでもだめな場合は友だちや親、先生に相談しよう。話をすると楽になる。

○励まし合おう
 この三学期、高2までの総復習をする意味でも、いままでの復習、そして、日常の授業の予習復習という学習習慣をしっかり身につけたい。試験を受けるのは学校の先生や塾の先生、親ではない。自分自身なのである。
 しかし、人はとても弱い。だからこそ、友だちや親、その他の人からの励ましによりがんばる。お互い励まし合い、そして、共に高めていく。まずは、この一週間、勉強の愚痴をなくしてみよう。愚痴を言うと自分の心に返ってくる。「自分はできる」と言い聞かせて、「がんばろう」と声を掛けよう。一つ一つの行動から始まる。
 学校の友だちとのおしゃべりは息抜きによいから、なるべく休まず学校に来て友だちと話をしよう。メールでは伝わらないニュアンスがある。

○今日から
 まだやる気が出ない人は、今日からがんばってみよう。がんばりたいと思ったら、その日にすぐに始めるとそのまま続く。まず、やり始めること。2月から始めれば、十分に間に合う。3月で普通。5月だと手遅れ。だからこそ、この2月を大切にしよう。だれでも「やればできる」のである。やらないとできない。毎日一段階段を上るとしても、3日で3段では、あまりあがった気がしない。1ヶ月で30段だと、3階にとどく。一歩一歩あせらず、しっかり勉強しよう。忍耐力をつけて、着実な努力を。

 


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