鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.06.14  価値づける

 5:00就寝、7:10起床。2:10睡眠時間。今日は14:00まで仕事でその後大手町へ。電車の中で20分ほど睡眠をとったのが、よくなかったのか、帰宅してから睡魔が襲い、うつらうつらしながら仕事がほとんど進捗しませんでした。
 湿気が多く、雨降りだと、低気圧ですから、意識がはっきりしないのでしょうね。それで暑いと眠くなります。6月は自分に厳しくないと堕落してしまいます。

 今日は井上尚美先生の「国語メディア授業研究会」にシンポジウムから参加。中村敦雄先生コーディネイトでした。これからの課題を検討するのですが、これからの課題とは、つまり価値付けですね。どのような価値があるのかを再整理することです。浜本先生はメディア教育は今後導入することになるとしても、どのような価値があるのかをしっかり見極めることから始まるという意識を、脳科学や心理学、大脳生理学などの観点からさぐる必要があるとの指摘でした。芳野菊子先生は史的に見ることが価値づけることになるという意識でしたね。カナダとの比較研究で位置を見ようとしていました。岩永先生は悪書追放の視点を子どもに植え付けてはいけないという、批判の問題を取り上げました。
 芳野先生の指摘通り、私も当初はリテラシーという言葉を能力、技術力などの意味で知りましたが、今は批判力ということばになっているそうです。批判することは比較対象することであり、それは批判する側の価値付けでもあります。あるいは、批判する人の分類になることもあります。立場を明確にしてしまいますから。それゆえに、批判するための条件整備が必要です。教養的にも能力的にも。それゆえ、批判には他を価値づけることと、自分を価値づけられていくという両面を持っています。それゆえ、批判するということは難しいのであり、しかし、それを戦前の西尾実は意識していたと言えるのです。

 ちょっとしたことで初めて話をするということがあります。話していくうちに、なんと共通項があったり、同じ悩みをしていたり。共感が生まれると、理解が早くなります。そして、自分の価値が別の局面にもあることを知ります。それが友だちとなっていくのでしょう。そういう出会いを作るには、話し合いを通して、話すことの拒否反応をなくすことが必要です。社交辞令的な話でもいいのです。話したという経験から次の話をすることへの抵抗がなくなります。一つ一つの出会いから、また出会いが生まれるので、話しかけるということは有意義なのです。ただ、人は感情で人と接しているので、好感触の場合は、すべてを受け入れられるのですが、敵意や嫌悪が生まれると、相手にどんな正義があってもフィルターで見ていきます。それゆえ、そういう傾向になると、修正は難しくなります。是々非々で物事を見られないことは悲しいことですが、むしろそれを人間らしいと言うべきなのかもしれません。それを見守るというのも、一つの方法です。
 見知らぬ研究会や、あるいは毎年新しく始めるときとは、いわば、異文化のせめぎあいの時間です。

 本日の夕食は、外食でした。冷や奴、トマト、サラダ、なす焼きで終わり。経済的ではないのですが、かなり美味でした。夜には米を食べないことが多いので野菜中心にしています。キウイが健康にいいという話。以前は毎日食べてましたね。最近はさぼり気味ですが。

 デルマガ、26号が届きました。発行者の武田さんは自称「普通の」サラリーマンなのに、雑誌を刊行し続けるというのはかなりのエネルギーですね。敬服いたします。

 久しぶりに「温彦博碑」の写真版を閲覧。線が細い拓なのですが、鑿の力が出ていて、少々形から見れば満足しない所もありますが、居住まいは端正です。価値は十分にありますね。

 本日購入のソフト。
○RETAS!LITE
これは実験的な購入で、パソコンでどこまでできるかということを検証するために購入しました。実験的にソフトを買うのは、評価版ていいということもありますが、評価版は正式版でないので、製品版を購入することにしています。
 ソフトでまだ迷っているのが、Kylix。Linuxを持っていないのにこれを買ってもしかたありません。Windowsからのエミュレートができるのといいのですが。

 本日購入のCD。
○Jils「Sweet Sonic Music Cd」
○Aioria「煌め逝く瞬間」
○A's Real「Remote」
 ほとんど衝動買い。どれもジャケットがきれいなのがいいですね。

 だれだれがこのサイトを見ていると聞いて、そんな読むに値しないのに無駄な時間をとっているのではないかと、同情が生じます。影響力があるかないかという問題ではないのですが。異変が起きたのが、2003年04月13日から。参照数がどっと増えたというのがこの日。といっても、一日3-5件だったのが、10以上になっただけのこと。常連さんもできたようで、ただ、MSIEの4.0というのはセキュリティに問題がありますから、最新版にすることをお勧めします。5.5の人も早めに最新版にした方がいいですね。
 見る人が増えると慎重になっていくというのが日乗の特徴。特に見えない人が見るという恐怖もあります。しかし、見えない人が見るからオンラインであって、そういう見てそれで終わりの人が多いから、ネット社会は成立しますね。エアクラのスタッフであるkumiさんのサイトも突然閉鎖しましたが、あれは閲覧者がものすごい数でしたから、影響力を考えて閉じたのでしょうね。では私の場合はというと、見られることは私の中にある価値ではないので、それほど気になりません。私の場合は、書き続けることに価値を見いだしているので、別に紙でもいいのですが、いつか自分の備忘録として残す付加価値程度にしか考えていません。だから、読み返しがないのです。それゆえ一貫性がないというのが事実。その時のその自分が、その時に考えたことを、その時の自分のことばで表現していくことが価値ですね。だれにでも当てはまるような言葉でなくて、自分のことばを使うことの意義を実践していくことに目標、いや、価値があると思います。
 他人に文章表現を教える場合は、目的として自分の表現に自信を持つことにしています。技巧は個人の価値観でいくらでも伸ばせます。しかし、表現の自信については、他人との関係、特に他人と関係を持つことから始まりますから、その関係性を作り上げる機会を設けることになります。苦手な人は普通程度に、好きな人はもっと好きになる、そういう相対的なものです。
 もし自分のサイトで日記なるものを記すとするならば、それは、あまり形や内容にこだわらず、淡々と書く方がいいですね。気負いと失敗します。普通に、平常にしていくことが継続の力でしょうね。


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