2004.01.31  堀切実先生古稀   
 

 堀切實先生の最終講義でした。理論の方ではなくて、フィールドスタディを「旅情スタディーズ」として滑稽として、そして研究の経過を示す立場は、淡々としながらも、人から人へのつながりを示すものでした。その根底はモチーフでしたね。話したのは、全てというよりも、モチーフをフィルターにかけて話してましたから、どん欲なまでの資料調査の事実は話の中には出てきませんでした。それはそうだと思います。
  ある意味では中村俊定先生と同じく最終講義をするということへの抵抗からこのような講義という部分でなはく、むしろ、講義という形式を俳諧へ向けたのかもしれません。それならば、俳諧ということの実を話の形式に採り入れ、そして中身をも、雑談という控えめな発言により、モチーフを披露することで、今後の研究の方向性と、地方雑俳の研究の意義、それに芭蕉や近松、西鶴などの研究家を育てる意味でも、自分なりの解釈活動について述べたようです。
  研究の世界ではどうしても考古学的な面で、ピンポイントに専門を狭めることがありますが、大局的な研究というのも、存在していいわけでして、そうでないと主流は廃れていきます。あるいは、とりあえずという教育的な教養主義になりやすいのです。そこが問題ですね。

 中野幸一先生の姿を久しぶりに拝見。お元気そうでなりよりでした。榎本隆司先生、杉野要吉先生も。堀誠先生と本について、濱田寛さんと立ち話。鈴木秀一君と立ち話。久しぶりです。
  浜本先生とはほんのわずかで。田中実先生と須貝千里先生と会うとか。詳しくはその後。
  先生方とあって、ちょっとした話でも、自分のモチーフにつながるので、意識は高まります。こういうのが大切ですね。岩淵研にも顔を出したいのですが、入シーズンだと無理でしょうか。

 夜にはリーガロイヤルで堀切實先生の古希をお祝いする会が開かれて参加。140人ほどでしょうか、多くの方が参加してました。いわば生前の告別式だとは、本人の弁。入り口近くで待っていると、途中で入ってきたのは、川平ひとし先生。思い出したのは、そう、28年前、国語の授業なのにビートルズのLet it beを訳しなさいという授業。そして、山上憶良の「妹が角見む、なびけこの山」。
  その横で、宗像先生も。23年前、梶原先生の研究室に机を置いて、助手時代でしたね。あの頃。
  そして柴田光彦先生。22年前に書誌学を受講しました。加藤惇先生の門下生で、鈴木勉さんや、石田肇さんとお仲間ですね。
  岩淵先生とは言語生活は学問でなく、分野であることを認識。そして、国語学は一般成人しか扱わず、青少年になると、教育学になる点について、再検討。4月から岩淵研に参加できればと思ってます。そして、言語生活概念の構築の最終段階を。

 パーティーには俳諧研究家の人たちが多く、私はちょっと引けてました。専門でもなく、ただ、昔のことがあったので、参加したまでです。で、一番のおどろきは、最後のスピーチで、いろいろな時代のこと、お世話になった人のことなど、語られた最後に、私の名前が。過去の事件について触れてまして、いや、ああいうとき、お歴々の集まる中で披露する話ではないので、赤面の至りでした(そのことについては、言いませんので、参加したから聞いて下さい。正直、まだ覚えていましたかというのが、本音。その節には多くの先生方にお世話になりましたが。)。そこまで気を遣わなくてもいいものを。でも、忘れませんね。あの数年間のお互いのいがみ合い。合えば、「君はまだ生きていたのかね。学生をしていたのかね。」「ここで会ったが百年目」とお互いに口減らずでしたが、でも、なぜか専攻科の終了式には挨拶してくれましたね。
  研究面では何を得ることもなかったというと語弊はありますが、でも、恩師の一人です。恩師がたくさんいるということは、幸せなことです。
  また、道であったら、「ここで会ったが百年目」と言ってみたいですね。まだまだがんばるぞという意味でも。
 終わり際に津本信博先生と立ち話。ぜひ、高等師範の伝統を守って下さいと懇願しました。新しいだけがいいわけではありません。学問は常に進化しますが、伝統には精神として生きているものがあります。それを生きたままにして欲しいという願いをお伝えしました。毎回、津本先生にはいろいろなこと申し上げてしまいます。

 幾分暖かくなったので、梅の花が盛りです。あちこちで咲き始めていて、それは、それはきれいですね。熱海の梅林もそうですが、青梅の梅林、梅の花、その香りも色も、まだ周りに花が少ないからこそ、その花の美しさが際だつようです。

 インフルエンザの流行も、今日の温かさで大分落ち着いたようですね。治ったつもりでも体力がまだ快復しませんから、無理は禁物です。でも、普段と同じ生活で大丈夫ですね。病気は悪ではなくて、体が休みをほしがっているのですから、休むが一番です。

 4:00就寝、7:00起床、3:00睡眠。
  朝食、ごはん、たまご。昼食、おにぎり2個、みそ汁。夕食、リーガロイヤルでの立食パーティー。夜食、カスピ海ヨーグルト。

     
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