古本屋で中野幸一先生共著の学参、『伊勢物語全釈』(武蔵野書院、昭和58年7月)を購入しました。「伊勢物語」と言えば、有精堂の「評釈」シリーズがとてもよいものですから、あえて買わなくても言いように思えますが、実は、この『全釈』でなければならなかった要因があります。それは、この『全釈』に「写真版の奈良絵本は九曜文庫蔵版による。」とあるからです。九曜文庫の奈良絵本の写真はそう簡単にあるわけでありません。その後、奈良絵本のシリーズとして出たことはありますのでそれを見ればいいのですが、これほど初期に学参に出ているというのは、かなり重要なことです。単に学参として手を抜くのなら、簡単にできます。でも、写真版に九曜文庫の奈良絵本を使うことは、なかなかできません。後に、『奈良絵本絵巻集』に収録されていますが、この時期ではまず見ることはでなかったでしょう。ここにこの本作りのこだわり、手を抜かないしっかりした作りとして、姿勢を感じました。九曜文庫は非公開の文庫です。見ることは出来ません。一度見たかったのですが、その機会を得ないまま現在に至ります。

[今日の記録]
睡眠時間：4:50就寝、7:10起床、2:20時間。