鴛鴦呼蝉庵日乗
2005.07.13  見ること

 その昔、東常縁の『徒然草』を見ることが出来、見るというよりも、触ったというのが正解かもしれません。松烟墨で落ち着いた墨色に、端正な、しかし、イタチの毛のような筆致で書かれていたのを覚えています。紙の手触りもよく、かといって高価な紙ではなかったのでした。常縁の真筆を目の当たりにしたこと自体が驚きで、でもそうい体験は筆跡を見ることの楽しさでした。
  ほとんどの場合、趣味で本を見ているので、研究対象にはならないのですが、先日、部屋を片付けてたら、『源語梯』の写本が出てきて、江戸のものには間違いないのですが、どうみても版本の写本なので、大した価値はありませんでした。でも、版本を書き写すということは、書写史や出版史でも大きな出来事だと思います。もちろん文化研究の上でのことです。
  手で見ること、直接、本物を見ること、それは世界を知ることだと思います。

 活字については、大分わかりかけて、あとは、印刷史と、用紙、用筆の歴史ですね。出版文化は部数の普及層の研究が必要で、享受層の研究がこれから必要です。

 「prism rhythm」の発売を知らずにいました。

 けやきは、「Zelkova」です。

[今日の記録]
睡眠時間:4:00就寝、7:30起床、3:30時間。
最高気温:25度

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