鴛鴦呼蝉庵日乗
2005.08.15  風呂の形状

 外泊メモです。宿の風呂で最近は寝湯や湯船で背中があたる部分を斜面にしたり、背中に合わせたりしたものが増えてきました。配慮なのでしょう。ゆったりと寝て風呂に入れるようにしてあるのでしょうが、楽に見えて実はよくなかったりします。というのも、背中にフィットする形状だと背中が密着しやすいのです。となると、その背中まで湯が回らなくなる。せっかく湯につかるのに、湯に接する面積が減るのはよくないことです。多少ざらざらしている材質や玉砂利のような材質ならまだしも、みかげや大理石のようなつるつるしたもの、あるいは表面はざらざらに加工していても、細かなざらざらゆえに、背中まで十分に湯が回らない場合があります。
  一般に湯船は直方体で、どうやっても、体と床や側面が接するのは、おしりや背中の一部などです。ほとんどの体は湯に十分に触れているのです。家庭用の湯船は、最近は斜めになっていて、背中に合うようになっています。家庭用の風呂は水道水ですから、湯につかる、あたたまる程度でいいでしょう。温泉の宿では風呂が命ですから、その配慮がないのはどうかと。
  温泉の湯船は木のものや岩や玉砂利の方がいいでしょう。湯に接する面積が多ければ多いほどいいのですから。
  サービスや使いやすいように配慮してあるのでしょうが、実はそれがかえってよくない場合があります。
  低反発の椅子も、実はよくなかったりするかもしれません。低反発ブームはもう一度、しっかり検証する必要があるでしょう。

 床ずれという恐怖もありますから。

前へ 目次 次へ
かくかい Copyright 黒川孝広 © 2005,Kurokawa Takahiro All rights reserved.
  かくかい