鴛鴦呼蝉庵日乗
2005.08.18  管理的浴衣

 宿の浴衣ですが、筒袖のところもあれば、浴衣の形式のもあります。ただ、多くの場合は、宿のどこでもおなじ柄で、男女問わず同じ柄です。その宿に泊まっていることがわかれば、出入りする場合の通行証としての役割を担います。つまり、宿泊客は、通行証としての認証を得るわけで、その集団、この場合は宿に属することになりますから、浴衣は有る意味では集団を規制する着衣なのです。
  つまり、学校の制服や、囚人服と同じく、集団を規制する、属性を示すものでありますから、そこには個性は必要ないのです。実用的かといえば、そうでもありません。実用を考えるのならば、風呂に入ったあとはバスローブですし、寝るときはパジャマの方がいいのでしょう。あるいは寝間着か。浴衣のまま寝る場合が多く、寝るときに寝間着にすることはほとんどありません。
  宿の浴衣という思想は、近代化をはずれたものであり、西洋にはない思想なのでしょう。それは集団に属することの方が安心であることを意味しているのだと思います。

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