鴛鴦呼蝉庵日乗

2009.10.08  最近の文章−階層

最近の文章の抄出です。
  環境問題の議論の中で、人間の行動が注目されること多々あります。その一つに、森林など一切手を加えないで自然のままにするのがよいと言う意見と、砂漠化を防ぐために植林をするなど自然を守るためには手を加えるという意見があります。それぞれ相反する意見ですが、根幹にあるのは、自然を守るための最善の方向はないかという熱意であり、それぞれ違う立場で同じ方向を見ているのです。ですから、それらの意見の中に、自然は破壊してもかまわないという意見は存在しません。
  考えることも階層により同一にもなり、異なりもします。例えば、人間、○○国籍、女性・男性、○○さん。この階層によって、共通項が広がったり、狭くなったりするのです。思考することは、どの階層で何を対象にして考えようとしているのかを、自分で認識し、分類・統合・区別など整理することにほかなりません。この階層が人間の場合は、公共性や社会性が働きます。そして、○○さんの階層になると、個性が働きます。この公共性は、近年問題になりつつあるキーワードで、自分と他人との関係性を認識し、コミュニケーションの深さに比例していると考えられます。「私だけが楽しければいい」という○○さんという階層と、「みんなのため」という人間の階層、もちろん人間を越えた生物、地球、宇宙という階層もあるはずです。それらの階層は、基準を何処に置くかで、上位になるものが変わるでしょう。上位になると、多くの人との関わりが増えます。
  公共性と社会性というのもは、自分と他人を強く意識することから生じるものです。自分の個性を認識し、他人の個性を認識し、その上で自分と他人とが共存する上でどのようにすればいいかと想像することです。想像力が豊かであれば、多くの人のことを視野に入れて自分の位置を考えることができます。想像力が乏しければ、自分と回りの数人の意見を視野に入れて、それを全体の意見であるが如きに考えてしまいます。自己中心の意識からは自分の意見がすべての人間も同じように考えているに違いないという判断が生じます。他の人が違う意見を持つことを認識できればそうはなりません。多くの意見があり、多くの考え方が、想像力を増やしていきます。個性の違う他人とコミュニケーションを取り、その意見の差はどこから生じているのかを判断することで、想像力が増えていくのです。
  学校の勉強をします。なぜ。いい成績をとりたいから。なぜ。大学受験で志望校に入るため。なぜ。いい会社に勤めるため。なぜ。自分の夢を叶えるため。なぜ。
  なぜ、という不安が、生きている限り、つきまといます。自分のしていることはそれでいいのか。方向は正しいのか。自信を持つことは大変です。今の自分に満足できないとき、不安は募り、その原因を環境であると考えがちです。例えば、英語は好きなのに成績は伸びない、一生懸命がんばっても点数は低い、という状況に対して、精神的なダメージを受けないようにしがちです。それは、英語ができないのではなく、英語をやらないから成績が低い、という論理を無意識のうちに作すのです。決して英語が嫌いなのではなく、やらないことを原因にします。それは下の階層で考えているからです。
  勉強をするには、勉強だけでなく、食事や運動、趣味、睡眠、コミニュケーション、さまざま要素が働いています。その中でも特に、親や友だち、先輩、後輩、先生、大人、そしてまだ出会っていない人とのコミュニケーションが、自分を育てていきます。
  今、考えている階層を一つ上にして、克服できないでいるのを克服できるようにしようとすること。その一歩を踏み出すために、今、自分に必要なものは何でしょうか。

[今日の記録]
2:30就寝、8:00起床。
天気:雨のち晴
最高気温:26度
最低気温:14度

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