鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.03.25 達成感

 25日は仕事が終わったのが、11時30分でした。さすがに深夜になると、体に堪えます。それでも、長い時間にいろいろと考えたのが、達成感。5年間もがんばってきた成果を披露すること。それは、長い時間かかって作り上げたというよりも、長い時間の積み重ねでその結果として作り上げたものだから、一回制のものでも、それは長年の積み重ねであり、全年度まで、いや、5年かかって文化を築いたものであり、その成果です。
 そして、私も9年続けた係を終えることになり、その最後でした。なんでこんなに長い時間もその係をしてたのか。不思議ではありました。興味があったのでもなく、そして私が作ったのではない、ただピンチヒッターとして係をしてきたのが、そのままずるずるとしてきました。でも、もう終えることになります。昨日もその理由を多くの人から、9年も関わった人から訪ねられましたが、しかし本当のことはなかなか言えないものです。ただ、「長いから」という理由を述べるに過ぎません。本当の理由は、自分の中に、そしてそれは理論ではなく、自分の感情として、いや、自分のその時の判断として行ったものです。あるいみではわがままですが、しかし、私には自分を守るための最低限の防衛・抵抗でした。その程度の抵抗なんて軽いものですが、しかし、その抵抗というのは、長い視点で見ないとわからないものだと思います。短期の考えだと、いろいろな問題はあります。しかし、その問題というのは、乗り越えるためにあるのであって、平凡な毎日ではつまらないですし、いいことばかりでは物足りない。だからこそ、今自分が最低限に守るべきプライドとは何か。そこにかかるのでしょう。9年間、集まり散じて人は変わって関わってきました。そして、その関わりの中で一番よかったのは、それは他人の成長です。それはその人の達成感とも言えるでしょう。
 最後に6年間関わった人たちから、色紙をいただきました。別にこれが最後の別れではないのに。なぜか、一つ一つの文言に、思い出がありました。私自身十分に関われなかったのに、そういう人たちからいただくのは、思いの外うれしいものです。関わりのある世代よりも、不思議に関わりが浅い世代の方が、心の中にで思っているのかもしれません。
 いままでの9年間の人たち、約140名。その人たちはどうしていくのか、ほとんど知りませんが、しかし、きっといい生き方をしていると思います。一つ一つの思い出がありましたので、毎年そうですが、最後の姿を見ないで終わりました。9年間きちんと見られなかったこと、来年からは視点を変えて見ていくことでしょう。昔の人が来て、名前を読んだら「覚えていたのですか」と意外な表情。覚えているものですよ。そういうものです。

 引き際ということがあります。引くことで、次の世代がうまくいくのです。情熱を傾けると、期待すると失敗します。だからほどほどの距離を保つのがいいのです。9年間の区切りをした今、私はもうひとつの区切りをすることにしました。それは、距離を保つことです。「思い入れはないのですが」とこの距離を保つことについて質問されました。今日も。でも、答えは本音でなく、うわべの台詞でごまかしました。真意はだれにも理解されないでしょう。言葉を尽くしても。昨日もそのことについて質問を受けて、1時間半近くかけて説明をしましたが、もちろん伝わることはありません。もっとも、伝えようとしていなかったのかもしれません。
 自分に対して厳しい対処かもしれませんが、しかし、そういう距離も必要です。近すぎず、そして遠すぎない。近くて遙かな旅です。前向きに生きるのが一番いいですが、しかし、私の場合は、そういうときに逆の作用をしたりします。本意でなくて、わざと自分を窮地に追い込むことは、よくないのですが、しかし、しないと伸びないことはかわっているのです。その選択にはあるいみ苦しみがあります。悩んだのは事実です。長い時間。でもその結果は正しいのか、わかりません。その結果は一年後に。いい結果にならないのはかわっていても、あえて挑戦するのは、その先の達成感です。達成感には、自分自身に対する評価と、他人からの評価があります。他人からの評価は理解者からだと安心します。ある人から言われました。「理解者であった人が離れると、安定なんて脆い」。そうかもしれません。安定って、理解者や存在感があるからでしょう。

 なんでそんなに自分を追い込むのかわかりませんが、区切りをつけることは次への発展と言われます。でもそれは結果からのこと。事前に結果はわかりません。よくない結果になるかもしれません。でも、何かをしていないと、今の自分をよくはできないのでしょう。


前へ 目次 次へ
かくかい Copyright 黒川孝広 © 2003,Kurokawa Takahiro All rights reserved.