鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.02.15 言葉にできない

 感情が言葉にできないことがあります。楽しいこと、うれしいこと、辛いこと、怒りなど。感情を相手にさとられないようにと、いろいろな表現で説明することがあります。その時も、いつの間にか、議論の中心を離れていくと、感情が別方向へ向かうこともあって、中心の議論でなくなることもあります。それでも、自分で思い通りにならない時には、モノにぶつかったり、叫んだり、いろいろな表現で自分に伝えます。他人にも伝えようとするのですが、しかし、自分の中に感情が高ぶっているときは、人の声は聞こえないことが多々あります。自分中心で動いているのは事実で、聞こえない時も有るのは事実で、時としてじいさんばあさんの会話になってしまうこともあります。歌舞伎でも「じいさんばあさん」というのがあって、なかなかおもしろいのですが、そういう世界は理解があってのことです。
 感情だけの世界、いらいらや、ぶつかり、そうい時に言葉は無力です。言葉で理解したいと思っても、できない。それがもどかしいのですが、それは言葉の限界であって、感情という第一義は言葉に勝てないということを知らされます。


Copyright 黒川孝広 © 2003,Kurokawa Takahiro All rights reserved.