鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.03.10 待つ

 新聞を見たら、クリフ・リチャードが27年ぶりに来日ということでした。ファンの立場から見れば、30年間待ったわけです。昔のアイドルをひたすら待っていた、それはすごいことです。この4月には、オリビア・ニュートンジョンが25年ぶりに来日するということでした。ファンは25年間待ったわけです。一年や二年でないのがすごいですね。もちろん、日常的に活動しているわけですから、それは知っていますので、CDも輸入に頼ることになります。その意味では、ファンはありがたい支援者です。見る側が居るから、表現者は存在し得ます。もちろん、受容者がいなくても、表現は可能です。
 表現者の活動として、30年もファンを待たせること、それは罪悪に感じられるかもしれませんが、待たせることは意味はないのです。むしろ、ファンが待つという姿勢持つことの方が価値がある、いや、尊いものです。期待すること、そして、その期待を待ち続けること、それは尊いことです。可能性の有る人、その可能性を待ち続けること、それもファンです。表現者であるからこそ、表現しつづけていくことに意味があります。表現でつまづいたら表現することです。表現することで、開けてきます。それがなければ、表現は苦痛でしかありません。

 表現とは生き甲斐、あるいは存在価値ということなのです。


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