鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.05.06 価値を見いだす

 作品の価値を自ら考えて、述べるというのは難しいことです。特に、考え方がわからない場合は、どうしていいかとまどうでしょう。何度か聞いていくうちに、会得していくものです。それゆえ、しばらくが辛抱でしょう。
 立ち話で、「三国志」ついて。「三国志」は一つの本、まあ、この場合は演義ですが、それを漫画化したとします。横山光輝、園田光慶、たぶんその他にも漫画にしているのでしょうけど、「三国志」自体は、一つの作品であって、その内容は一つです。つまり、内容は一つなのです。その内容をそれぞれの漫画家が脚色を凝らして作品として発表する。しかし「三国志」であることには違いはありません。内容として「三国志」なのです。ただ、それぞれの漫画家の視点からキャラクターが設定され、描かれ方が異なってくる。それゆえ、描く側の姿勢や視点が大切なキーとなります。つまり、描かれ方、何をテーマに描くか、そこにかかっているのではないでしょうか。
 「桃太郎」も桃太郎から描くか、老婆から描くか、雉や猿や犬から描くか、あるいは、鬼から描くか、それで作品は違ってきます。しかし、「桃太郎」です。内容は桃太郎でも、表現が違うのです。
 アニメが原作と異なるのは、アニメ作家から見た作品を描いているからです。その視点があるから、原作とは違ったアニメという存在があるのだと思います。原作、オリジナルとは異なっていてもよいのです。それは、「サザエさん」にも言えることです。作者は亡くなっても、テレビは放映して新作が作られる。それは、「サザエさん」という伝統、いわば家族によるさまざまな日常の出来事という「内容」が一定してるからではないでしょうか。
 内容という問題と、表現という問題。くくってしまえば同じなのですが、しかし、その表現が異なる。一つの作品についての意見が異なることは、作品を見ていく視点がどのようであるかにかかっているのではないでしょうか。

 RAG FAIRのことと、S.O.S、INSPi、BabyBooついて立ち話。コーラスとボイスパフォーマンスとの差について議論。その後、集中力について議論。結論はでませんでした。

 人間の意識を変えるのは環境であり、自分の力ではなかなかうまくいきません。外的ないいことやいやなことが、自分を成長させるきっかけをつくったりします。そして、いつか見えてきます。その時の自分が。その繰り返しです。成長していく過程を見ていくこと、そして自分をその中に当てはめていくこと、それは、永遠の課題です。


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