鴛鴦呼蝉庵日乗 2003
  2003.08.08  近づく台風

 台風が近づいています。近づき具合については、実感として感じる場合と、情報として感じる場合とありますね。風が強くなった、雨脚が強くなった、というのが実感として感じる場合ですね。子どもの時、台風が近づいたというので、外に出たら、雨もやんで、風も吹いてませんでした。空を見たら、青空がちょこんと出てましたね。確かに暑かったです。なんだ、台風それたのかと思いました。ところが、30分ほどすると、風が吹いてきて、雨も激しくなりました。後から考えたら、それは台風の目だったのです。こういうのが実感として感じる場合ですね。
 もう一つが、情報として感じるものです。テレビで流される風速情報や風雨の情報は数値情報で、それを聞いて、その激しさ、度合いを推理します。テレビでみる映像は実感として近いものですが、激しさは、遠くではわかりません。近くのレポーターが風で倒れたりすれば、その強さは実感しますが、ほとんどの場合は実感しません。風雨が強いというのがわかる程度です。ネットで見れば、台風の位置も10分おきにわかります。事実、10分遅れで室戸岬に上陸した台風の目を見ることが出来ました。この場合の見ることが出来たのは実際に台風の目を見たのではなくて、気象レーダーに写る雲の影で理解することになります。
 こういう情報としていろいろな事を見たり聞いたりすることができるのは、それはテレビ番組もそうですし、新聞もそうです。つまり一次情報ではなくて、二次情報となるからです。二次情報はあくまでも一次情報をそのまま伝えることです。しかし、新聞やテレビは事実をダイジェストしますから、そこには加工が入りますので、三次情報となります。二次情報はあくまでも複製ですから、加工は三次となるのです。
 三次情報で気をつけるのは、加工する人の視点によって、記事内容が異なってしまうことです。レアルマドリードの試合でも、ベッカムのみ報道するか、ロナウドを報道するか、その視点によって目的が異なります。FC東京も3点で抑えたというのはその技量があるからでしょう。1点も入れられないことも指摘してもよいのです。それはある意味で報道ですから。ですから、視点というのは、あくまでの見方、切り方なのですね。
 今は、リアルタイムで情報が入ります。よく例えるのですが、ときがそうですね。NIPPONIA NIPPONは、その日本での最後の一羽がきっと数年のうちに亡くなります。今は24時間監視されていますから、最後の瞬間を映像で見ることが出来るのです。きっと、これは、人類史上初めてのことなのでしょう。動物の最後の一羽が地球上から滅びる瞬間を映像として捉える、そういうことなのです。そして、その時は冷凍保存されて、いつか復活するまで国の財産として保管される、この事実もちょっと考えさせられることです。日本オオカミは滅びましたし、その他多くの動物は滅びました。人間もいつかはそうなるでしょう。太陽が超新星爆発をすれば、地球も滅びますから、人類は46億年よりも前に滅びます。

 形あるものはいつか、滅びます。そして何かが生まれるます。それが無常です。常ではない、移り変わり、だからこそ、その移り変わりに悲哀を感じ、そして次なる世界へ期待するのです。新しいこと、もの、そして自分。これから変わる自分がある、それが無常です。人もいつか滅びます。でも、それを考えるは情報として考えることです。
 実感として考えるのなら、死ぬことへの悲しみがあります。大切なものを失う悲しみ、飼っていた動物が亡くなる悲しみ、飼っていたインコが亡くなる悲しみ。それは飼っていた人が、愛情を注いだ分だけ悲しいのです。その悲しみを構造化して、「飼っているものが亡くなると悲しい」なんて言葉では置き換えても、何の意味はありません。飼っている人が、飼っているその愛すべき生き物、かけがえのない命ある存在を大切にしていたからこそ、そこには悲しみがあります。切なさがあります。その気持ちは他人にはわからないにしても、その気持ちを感じて、切なく思う、そういう感性があればと、思います。
 人の悼みを感じていくことができるか、察することができるか、感性のある人を理解できるか、そういうことをよく考えます。これが優しさだからです。
 もう取り戻せない時間、それに留まっているよりも、飼っている大切なものが亡くなったときに、その大切な生き物は、きっと、身の回りの不幸を抱いて旅だったと、そう考えないと、やりきれないのですね。
 思いがあるからこそ、そこには、悼みがあるのです。それは優しさゆえの悼みではないでしょうか。きっと、そこには気持ちがあるのです。それは優しさです。

 押入にCDとCD-ROMを重ねて入れるのですが、重みで下の方のプラケースが割れました。CDケースは、横に並べないとだめですね。山積みすると、割れます。最近、よく割れるのですが、丈夫なCDケースはないものですね。CDやCD-ROMの保管はいつも大変です。本も大変ですが、積んでも壊れませんから。崩れはしても。

 台風の影響で帰省する人には困りますね。飛行機は欠航ですし、車の方は運転に注意しないと危ないですから。気をつけてお帰り下さい。そして、元気でまたお戻り下さい。

 ついに夏休み終わりです。明日からは準備、学会、学会、合宿、勤務、勤務、合宿、研究会、勤務となってます。残りの夏休みはあと3日ですね。きっと。今年は忙しすぎです。どうにかならんかと。

 中島美嘉の曲、売れてきましたね。なかなか切ないいい曲です。

 9月のイベントでPIERROTやGacktやJDAが出るとか。すごい組み合わせですね。

 昨日、風呂上がりにへやに入ったら、ヤモリが走り去りました。急いで窓を開けましたが、出て行ったかどうか。家の中だと暑くてひからびてしまいます。心配ですが、台風のこと、わかったのでしょうか。それで家にいたとしたら、それは本能なのでしょうね。

 「花とアリス」の特別DVDVol2を見ました。「花」は普通の「はな」と発音するかとおもったら、「は」の方が高いのですね。人名だから。「アリス」は「有栖川」という名前でした。8月下旬のBreaktownで3が出たら完結ですね。どうなっていくのか。メーキングだったのが、円周率を暗記するところ、つらいでしょうね。暗記は。特に数だから。でも、あれは岩井俊二監督の年代だからの発想だと思います。よく円周率を暗記しましたから。そういう時代的な背景ってありますね。文化研究的といえばそうでずか。

 紀要の修正、もう少しです。原因がわかったものの、修正に時間がかかることがようやく判明。スタイルファイルの設定が競合したのが問題のようです。
 学会の総会資料作りで昨晩かかりました。細かいところでミスがあることが判明。これでやっていけるのか、不安ではあります。
 紀要の遅延など含めて、いろいろの責任を考えて、理事を退任することに。編集委員会も。事務局長も坂口さんに引き渡ししようと。一切を引くのではなく、責任ある所から引くことに。組織を維持するのには力と根気が要りますが、そのためには少し時間をいただかないと無理そうです。

 4:50就寝、9:00起床、3:50睡眠。


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