鴛鴦呼蝉庵日乗
2005.06.15  説明文の視点

 パソコンの入れ替えで環境整備にとまどいまとめてアップしています。

 「カラスが都会のハトを黒くする」という文章が中学の教科書に掲載されています。ハトと人との関わり、そして人の生ゴミが天敵であるハトの攻撃を避けて白いハトが少なくなり、黒いハトが増えるというものです。
  東京と大阪の鳩の黒色の比較なら、地域の数の比較です。それは変化の比較ではありません。
  カラスが都会の鳩を黒くするのであれば、都会と田舎の鳩がどのように生態が違うのか調査が必要でする。また、白いハトが決闘的にどのように遺伝子的に黒くなるのか。あるいは数量が時間の変化で数年、数十年で変化したのか、それも必要です。黒いハトが多くなったのは、東京で発生したのか、他府県から飛来したのか、どのような原因かが不明です。時間的な観察、色の比率の推移、それらが十分ではありませんでした。
  生ゴミによるカラスの増加は新聞などでも報道されていて、事実として認識できるのですが、そのカラスがハトの卵をねらう、それも言えるとしても、ハトそのものを攻撃するかどうかですね。それはよくわかりません。生ゴミが増えるのは、その通りですが、生ゴミが増えるのであれば、ハトの卵を襲う必要もなくなります。このあたりの整合性はどうなのか、疑問は残ります。
  カラスがどのように鳩を脅かすのか、カラスと鳩の補食関係、カラスがどのように鳩の生活と似ていてじゃまな存在となっているか、生態系の場所と時間と食の関係。このあたりも説明が不足ています。
  もし工業化などが鳩の色を変えるのであれば、人間も黒くなるはずであり、コギャルやヤマンバと言われる黒く塗る女子高生は工業化の影響となります。もちろんそれは生態的な変化ではないので、あてはまることはできません。しかきし、都会であれば工業というのは別問題で、新宿を見れば色鮮やかなビルや広告ですから、むしろいろいろな色になるのではないでしょうか。都会といえばも、黒色のものを探すのはかなり難しいです。灰色やベージュや白や。アスファルトの色。そんなものが多くなっています。果たして色との関係はどうなのか、もう少し調査する必要があります。
  どこか、テレビのドキュメンタリーのような映像が思い浮かぶ文章で、モチーフはいいとしても、説明の過程は不十分な印象を抱かせる部分が少し多すぎます。
  ここでは筆者がどのような意識でこの文章を書いたに留まるべきで、ここから環境問題につなげようとするのは、読む側のある文章に対する不信感をぬぐわずに進めるため、難しいでしょう。読む側が矛盾を感じて、その矛盾や疑問が解決できない文章を扱う、それもその内容が正しいかのように扱うのはどうでしょうか。説明文ならば、きちんと説明の過程を経て、整合性のある文になるべきです。
  読めば読むほど批判的にならざるを得ない文章は、意外と面白い展開になりそうですし、学びが成立できるかもしれません。その意味では教材価値はあると言えます。あとは料理の仕方次第でしょう。

 パソコンのメンテナンス、残りのソフトのインストール。もちろん今日だけで終わることはないので、数日かかります。

 新パソコンのスペック。
Dell Dimension 8400
P4 3.2G
メモリ 1G
HDD SATA 80G+120G
MA CD-RW/DVD-ROM
SL CD-RW/DVD-RAM/DVD-R
MO
FDD

ディスプレイ NANAO M190

 旧パソコンは1.7Gだったので、約倍速のはずですが、実際はたいした差はありません。ただ、ソフトの起動は少し速くなって楽になりました。

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