鴛鴦呼蝉庵日乗
2006.1.19  臨書は原寸の文字の大きさで学ぶべき

 行ってきました、「書の至宝」展。みごとでした。以前、東博で「日本の書」があり、圧巻でしたが、今回は、上海博物館の銘品も揃って、中国と日本の名作ばかりでした。今回は墨と紙の関係を中心に観察してきました。当初よりも時間がなくて、1時間という短時間での鑑賞だったので、今回の会期のものだけに絞って走り回りました。
  で、見たのは以下の通り。
石鼓文(先鋒本)
石鼓文(後勁本)
喪乱帖 王羲之
定武蘭亭序(韓珠船本) 王羲之
定武蘭亭序(犬養本) 王羲之
十七帖(上野本) 王羲之
国宝 臨王羲之尺牘 伝藤原行成
九成宮醴泉銘(海内第一本) 欧陽詢
孔子廟堂碑(唐拓孤本) 虞世南
草書孝経巻 伝賀知章
重文 行書李白仙詩巻 蘇軾
重文 行書伏波神祠詩巻 黄庭堅
重文 草書四帖巻 米ふつ
国宝 楷書徽宗文集序巻 高宗
行書詩賛巻 鮮于枢
蘭亭序十三跋 趙孟ふ
楷書仇鍔墓誌銘巻 趙孟ふ
国宝 灌頂暦名 空海
国宝 金剛般若経開題残巻 空海
金剛般若経開題 空海
国宝 久能寺経
屏風土代 小野道風
玉泉帖 小野道風
絹地切 小野道風
書状(国申文帖) 藤原佐理
国宝 白氏詩巻 藤原行成
国宝 仮名消息(延喜式巻第四紙背)
重文 継色紙 伝小野道風
重文 寸松庵色紙 伝紀貫之
升色紙 伝藤原行成
関戸本古今和歌集切 伝藤原行成
桂宮本万葉集 源兼行
国宝 書状(延喜式巻第三十九紙背) 源兼行
国宝 十五番歌合 藤原伊房
重文 古今和歌集巻第十三残巻
金沢本万葉集 藤原定信
国宝 葦手下絵和漢朗詠抄巻下 藤原伊行
重文 論春秋歌合巻第六 伝宗尊親王
重文 仏舎利奉納願文 九条兼実
更級日記 藤原定家
十五番歌合 光厳天皇
源氏物語抄 三条西実隆
重文 一行書 一休宗純
草書七言絶句軸 張弼
行書七言律詩軸 沈周
行書自書荊渓流詩巻 王ごう
草書自書詩巻 王寵
行書午門朝見詩軸 文徴明
草書五言律詩軸 文彭
行書女芙館十詠巻 徐渭
隷書庭園記軸 孫克弘
行書尊拙園詩軸 米万鍾
行書李白游洞庭詩軸 李流芳
楷書陰符経府君碑合巻 董其昌
行書五言律詩軸 倪元ろ
楷書嘉命辞巻 黄道周
行書五言律詩軸 王鐸
小楷恭賀張老年伯栄寿巻 王鐸
草書自書七言絶句詩四屏 傅山
行書王維詩軸 鄭燮
隷書節臨華山廟碑軸 黄易
行書論谷神章軸 梁同書
行書節臨唐宋人書四屏 伊秉綬
行書蘇軾詩四屏 何紹基
行書五言律詩軸 呉昌碩
和歌屏風 近衛信尹
和歌屏風 近衛信尹
摺下絵和歌巻 本阿弥光悦
重文 立正安国論 本阿弥光悦
文語屏風 細井広沢
唐詩屏風 三井親和
詩書屏風 貫名菘翁

ただ、楷書仇鍔墓誌銘巻 趙孟ふ、の跋文には文徴明が書いていますから、跋文を含めばかなりの数になります。王羲之のところや古今集などの処は混雑していましたが、沈周、王寵、文徴明、文彭、米万鍾、董其昌、倪元ろ、黄道周、王鐸、傅山、鄭燮、伊秉綬、何紹基、呉昌碩、など名品ばかりなのに、このコーナーは空いていましたね。文彭や八大山人など、かなりいい作品もあったのに。
  この展覧会の図録は鑑賞にも十分に堪えうるのですから、ぜひ手元に置いて欲しいですね。職場にも一冊置いておこうかとも思いました。

 で、今回の目的である墨と紙、字野についての関係は大分整理できました。かといって、まとめることはしませんが、自分の教養の知識として身に付いたということです。

 今回、大きな収穫だったのは、各作品の字の大きさです。だいたい日本の習字や書道教室、書写の授業では、半紙に6文字が基準のようです。確かに書道会にいたとき、作品の多くは半切に14文字などの大文字でした。原典を見ると、かなり小さいのです。大筆のお習字という授業は小学校段階で終了すべきではないでしょうか。中学の書写では小筆などを使用した、書状ならその大きさというように、一般的な7cmほどの大きさを練習した方が良いと思います。字を書くよりも、文を書くと言う方向へ向かないと、書くという本質を構えるときに矛盾を乗り越えにくいのではないでしょうか。これからの検討課題です。
  それと、小文字を拡大して、そのままにするというのもどうでしょうか。小文字を大きく書くということは、大きな文字特有の字形になっていくはずです。フォントもそうで、普通の本文用のフォントを拡大すると、どこかぎこちくなくなります。それゆえ、小文字の作品の臨書は、原寸で学んでみたらいかがでしょうか。
  もう一つ、文章ということも確認しまた。文字というよりも文章ということが書の本質ですから、文章という内容論にこだわることも大切なのだと思います。

[今日の記録]
睡眠時間:3:30就寝、9:30起床、6:00時間。
天気:晴れ
最高気温:6度

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