鴛鴦呼蝉庵日乗

2012.01.22  背景の書

 先日、朝日放送のドラマ、湊かなえ原作の「境遇」を見たのですが、撮影の使われた民家の座敷で、屏風が目に留まりました。主人公の背景には書の屏風があったのですが、その落款に、「一六」と「鳴鶴」が。まさかドラマの背景に巌谷一六と日下部鳴鶴の書が出てくるとは思いませんでした。もう一つは何であったかは、記憶にないのですが、明治の書家であろうと思います。ドラマ制作者はロケ地のものをそのまま使用したのでしょうが、絵画の屏風が多い中、書の屏風とは少し新鮮です。
  書の屏風といえば、沖縄県知事の会見の背景は屏風ですが、それも書です。豊平峰雲氏による「万国津梁の鐘」で、漢文は十五世紀のものです。以前、どこかで豊平峰雲氏が松本芳翠の影響があったということを目にしたのですが、どこに書かれていたかが、思い出せません。もしかしたら思い違いかも知れません。書の屏風は珍しい物ではないにしろ、背景に書があるとその文字に目が行ってしまいます。

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